「失礼します」
礼儀だと思い、部屋のドアを開けると中には5人の大人がいた。
実験室には授業で何回か入ったことがあるけど、まるで別の場所みたいに空気が違う。
「怯えなくていいから、ここに座って」
そうニコリと笑いかけてきた人が、おそらく私にあれこれ聞く人なのだろう。指定してきた椅子の正面に座ってる。
私は重たい足取りで椅子へと腰かけ、自然と膝の上で両手をぎゅっと握っていた。
「緊張しなくていいからね」
「はい」
「僕は清水と言います。今から尋ねることについて全て正直に言ってほしいんだけど、できるかな?」
「……はい」
なんだか話しかけられ方が子供扱いで少し気に障る。そうやって私のことを下に見ることで自分が偉いと主張しているのかもしれない。
「きみの名前は木崎梓紗さんで合ってる?」
「はい」
「じゃあ、木崎さん。A組の中できみが一番に頭に浮かぶ怪しい人って誰だと思う?」
「……はい?」
聞き返すと清水さんはまたニコリとした。その笑顔が胡散臭くて、私の発言を記録するためにいるであろう他の人たちも私が答えるのを待っていた。



