「今日は高野くんが予告されてます。動画の送り主は……幾田さんです」
すると、先生は「ふっ」とバカにするように鼻で笑った。
「幾田が送ってくるわけがないだろう」
「だったらラインを見てくださいよ!しっかりと幾田さんのアカウントから……」
「今の時代、そんなものはいくらだって偽装できる」
「……っ」
アカウントのなりすましや乗っ取り。私だってたくさんの可能性を考えた。
でも、あの動画はただのイタズラじゃないし、麻生さんのことも偶然が重なって起きただけのことじゃない。
動画を見てからずっとざわざわしているこの胸の鼓動が現実だと教えてくれる。
「じゃあ、偽装という考え方でもいいです。でも今日、高野くんの身になにかあった場合でもそうやって先生は他人事のように振る舞うんですか?」
「……俺は忙しいんだよ。おかしなことに巻き込まないでくれ」
先生は呆れた顔を浮かべて、そのまま職員室があるほうに歩いていった。
先生は、幾田さんの時もそう。いつだって面倒なことを避けて、事務的な態度で担任という立場にいるだけ。
先生は当てにならない。頼りにもならない。
どうすれば、どうしたら……。
「あず、ちょっと来て!」
と、その時。ちづが慌てた様子で私のことを呼びにきた。



