私も怖くて怖くてたまらないのに、身体が硬直してしまって動くことができない。
正気を失っていく高野くんが瞳を見開いた瞬間に、ノコギリは半分まで到達して。すでに息がない高野くんなんて関係なしに、黒いフードの人物は、彼の首を容赦なく切り落とした。
椅子から転げ落ちるように高田くんの身体はバタンッと倒れた。
黒いフードの人物は高田くんの髪の毛を持ったまま首を上に掲げて、そのまま勢いよく投げ捨てた。
ゴロゴロと転がっていく首は動画が撮影されている手前で止まり、高野くんの顔がアップになったところでぷつりと再生が終わった。
時間にすると、2分45秒。
通常どおりのトーク画面に戻り、私は放心状態のままスマホを見つめる。
「……っ」
胃の中にあるすべてのものが上がってくる感覚がして、廊下の突き当たりにあるトイレに駆け込んだ。
麻生さんのこともあり、今日はほとんどなにも口にしてなかったから、吐き出したのは胃液だけ。
……あんなこと、普通の神経がある人だったらできるわけない。
そう思いながらも、高野くんの切り落とされた首を思い出してもう一度トイレに顔を突っ込んだ。



