入学式の日。これからの高校生活に胸を踊らせて、A組のドアを開けた時のことが遠い昔のように感じる。
友達はできるかな、先生はどんな人だろう。そうやってみんなソワソワしながら自分の席を探して座った。
窓から見えた桜の木。ひとりひとり自己紹介した初日の挨拶。ピカピカの床から漂うワックスの匂いと、真新しい制服を着た30人のクラスメイトたち。
なにもかもが輝いていたあの日の光景には、もう二度と戻れない。
幾田さんを含む27人のクラスメイトが死に、担任の鈴木先生さえいない。
二度と、本当にもう永遠に私がいたA組には帰れないんだと思ったら悲しみが一気に押し寄せてきた。
拭いても拭いても流れてくる涙が床に落ちる。
「木崎さん、行こう」
そう優しく前園さんが背中を押してくれたあと、私たちは教室を出て屋上へと向かった。



