雨も降っていないのにびしょ濡れで帰ってることもあったし、1日背中に【ブス】という張り紙をされていたり、上履きを隠されて靴下で授業を受けていることも珍しくなかった。
「弱い人をいじめてると自分が強く見えて優位に立てるから」
畑さんは口を濁さずにはっきりと言った。
「私、親いなくてさ。ずっと愛情が薄い場所で育ってきたから、自分でも色んなとこが欠落してるって分かってる」
畑さんは路肩に停車しているタクシーのハザードランプを見つめていた。
「だから学校が唯一の居場所だった。一軍にいることで存在を認識されてる気がしてたし、派手な人と仲良くなれば自分も目立てると思って唯菜の隣にずっといた」
「………」
「そんな唯菜に嫉妬してたことも本当。でも唯菜も含めて真美や友香のことを友達だと思ってたことも本当だった」
……仲谷さんと磯山さん。
ふたりは畑さんのことを誤解したまま死んでしまった。
そうやって今まで信じてきたものが予告動画によって信じられなくなってくる。
得たいの知れない恐怖。裏切り者が誰だか分からない状況で疑心暗鬼になっていく様子を、私は数々と見てきた。



