最初は恐怖でしかなかった動画は何回も再生していく内にみんなが慣れてしまい、今ではユーチューブでも観賞しているような感覚で、ほとんどの人が気軽に再生してる気がする。
「でもマジでひどいよね!人の手足をこんな風に折るなんてさ!」
麻生さんは窓のフチに座り、わざと大きな声を出して注目を浴びていた。
「昨日はちょっとビックリしたけど、唯菜から『生きてるんだけど』って、電話来た時はお腹抱えて笑ったわ」
「それにしても本当によくできてる動画だよね。唯菜そっくりだもん」
「でも考えてみれば人の骨って簡単に折れなくない?ボキボキ鳴ってたけど、絶対違う音足してるっしょ」
麻生さんのグループは5人。
『唯菜とは親友』といつも麻生さんの隣にいる畑さんに、読者モデルをしてる仲谷さんといつも明るい磯山さん。
そして、そんな派手な人たちの中心でバランスを取っているのが……。
「唯菜。そんなところに座ってたら危ないよ」
容姿端麗で男子たちからも人気がある、前園明恵(まえぞのあきえ)さんだ。
この5人はA組に限らず学年で一番権力がある人たちと言っても過言じゃない。
でもやっぱり、その頂点にいるのは、お姫さまのように椅子を台代わりにして窓のフチに座っている麻生さんだ。
「えー平気だよ」と、麻生さんは言いながらわざと足を組み変える。自分のスタイルの良さを見せつけるためということは、クラスの全員が知っていること。
開けっ放しの窓から風が入ってくるたびに麻生さんの髪の毛が揺れて、教室に甘ったるい匂いが充満していた。



