「元凶は、鈴木先生を含むA組全員だよ」
私たちはありとあらゆる選択を間違った。
なにかひとつ違っていたら、誰かひとりでも声を上げる勇気を持っていたら、幾田さんは死なずに済んだ。
私たちは平然とごはんを食べて、学校に行って、授業を受けて、友達と遊び、家に帰って寝るまでラインをして、また次の日がやって来る。そんな普通のことを当たり前のような顔をして過ごしていたけれど、幾田さんのいじめに関わった全員が加害者であり、殺人者。
決して法律では裁かれない無法地帯の中で、罪の重さを自覚しないまま、みんなが笑って毎日を過ごしてきた。
「……私たちは幾田さんに制裁されるべきなのかもね」
小さく呟いた私の声は、みんなに聞こえていた。
「冗談じゃねーよ。俺は絶対にこんなことで死にたくないっ!!」
武政が怒ったように言う。
「いじめなんてどこにでもあるだろ?たまたまいじめられた幾田の心が弱くて自殺して、それで予告動画が生まれて、俺たちが復讐されるなんてそんなの不公平だと思わねえ?」
「………」
「普通に転校して人生をやり直すヤツだっているし、大人になって『学生時代にいじめられてたんだよね』って話せるヤツだっている。そういう選択肢もあったのに選ばなかったのは幾田も同じだろ!?」
武政の声がだんだんと大きくなり、すれ違う人たちがこっちに注目しはじめている。
「た、武政、とりあえず落ち着いて」
「は?落ち着くってなんだよ。俺はすげえムカついてんだよ!」
そう言ってバンッ!と勢いよくベンチを蹴飛ばした。



