「せ、先生っ!!」
私と前園さんは顔を見合わせて慌てて駆け寄った。
「くそっ、なんで俺がこんな目に……っ」
「落ち着いてください。今救急車を……」
ポケットからスマホを取り出すと先生は再び吐血して、それが私の手に飛び散った。
ガタガタと震え出す指先に合わせるようにして、先生の身体も小刻みに痙攣しはじめる。
なんの前触れもなく、人がこんなに苦しみだすはずがない。
これは間違いなく、動画の影響だと私は悟った。
「おれは、ただ、普通の教師になりたかっただけなのに……」
か細い声で先生が涙を流す。
「なんでだよ、なんで俺がっ……」
そう言ったあと、先生は無念の表情を浮かべて目を閉じた。
「……ど、どうして……?」
力が抜けて後ろに倒れそうになった私を前園さんが支えてくれた。
……ピロンッ。
救急車を呼ぶために取り出したスマホが光る。
【あと8人】
鈴木先生は、そのまま目を開けることはなかった。



