「高校? 綾の好きなとこにしなさい」



今日は豊さんが仕事で遅くなるらしく、お母さんと澄花ちゃんと夜ご飯を食べた。


進路について相談したものの、一言で終了。


前までは名門高校をすすめてきたのに。



「お姉ちゃん今年受験かぁ。大変だね」



ため息をつき、ハンバーグをつっつく澄花ちゃん。


名門校に通う彼女となら、進路の話もできるかもしれない。



そう思い、「澄花ちゃんは中学受験頑張ったばかりだもんね」と声をかけたが、


「まあ大変だったよー。でも受かったら高校も大学もエスカレーターだ~! と思って頑張った!」とのこと。



「あはは……そっかぁ」



嫌味じゃない。無邪気に話しているだけ。


自分にそう言い聞かせたものの、澄花ちゃんの言葉に感情が反応してしまう。



もともと、わたしは勉強しか取り柄がないと思っていた。


でもそれは取り柄でも何でもなかった。


簡単に勉強もスポーツも高いレベルでこなしている澄花ちゃんを見ると、自分が出来損ないに思えた。



「澄花、さっそく小テストで満点だったんでしょ?」


「うん。まあクラスの半分くらい100点だったけどね」


「でもすごいじゃない。頑張って成績キープしないとね!」



お母さんも有名大学出身。今では大手企業勤めのエリート。


昔から『今の時代、女も学歴つけなきゃダメよ』と言い聞かせられてきた。


よって、わたしの成績も厳しく管理されていた。