だけど、どこからか現れた私の……王子様が救ってくれて。
気がついたら怪我も消えていた。
でも姿は一度も見ることは出来なかった。
「すごい怪我だったから、舐めて怪我の処置をした。その時の血の美味しさに驚いたのは今でも覚えてる。そして、顔を見られたらきっと怖がるだろうと思って、ずっと君には目を閉じていてもらったんだ」
ひんやりとした地面に座り込みながら、しっとりと膝を濡らすあの感覚を思い出す。
『20数える間に、君の怪我を治すからそれまで目を閉じていて』
そう言われたのをはっきりと覚えている。
そして20数える前に気配が動いた気がして、咄嗟に首に抱きついた。
「抱きつかれて驚きを隠せなかった。でも、俺たちの姿を見ていいのは祭りがある日のみ。それでも君は俺から離れなかった」
「……」
「王子様どうかいかないで……そう言って聞かなかった。だから約束したでしょ?ここで舞踏会を開くからーーお姫様としておいで……と。それでそのまま君を森の入口まで帰して、別れたでしょ」
その時も顔を見ちゃダメだと言われて、見なかった。
しっかりと声だけでも覚えようと耳を澄ませていた。



