私の聞き間違いでなければ、幼い時と言った。
そんなこんなに印象深い悪魔に会っていたら忘れるはずがない。
不審に思いながらライズを見つめると、また優しく頬を撫でてくる。
その表情は優しくて、どこか胸が締め付けられる。
「こうやって頭を撫でられるのも今も好きだよね?」
そっと髪に優しく触れて頭を撫でてくる。
そうだ、未だに誰かに頭を撫でられると落ち着いて考えられる。
それが、小さい頃からの癖だ。
なんでそれを……と聞き返したかったけど、人差し指で口を封じられた。
「君がまだ四つとかそれくらいの時。この時期にこの森に迷い込んで、大泣きしてたのは覚えてる?」
……覚えてる、お父さんの後をついて歩いて行ったのにいつの間にか迷子になった。
そして濃い霧に視界が悪くて、小さな崖の下に落ちた。
「そこで君は足に怪我を負って、結構な出血をしていた。たまたま森の監視をしていた俺は、君を見つけたんだ」
思いだした、痛くて痛くて何度もお父さんの名前を呼んだ。
でも誰も助けには来てくれなくて、すごく怖かった。



