「大丈夫。心は女だもの。ね?」

「う、うん……そうだよね」


私は落ち着かない心を何とか静めようとするものの、海里は納得がいかない様子で腕を組んだ。


「心が女だという証拠はどこにある?」


眉を吊り上げ、ケイのことを睨む。


「失礼ね。こういう人がいるから私、クラスではまだカミングアウトできてないのよ」


ケイは長い襟足を手櫛ですき、小さく溜め息をついた。


「そんなに反対するなら。私は朝までユキには指一本触れません。──これでいい?」


如月先輩は快諾し、海里は渋々うなずいたので、ケイは私の部屋で一緒に寝ることに決定した。




ケイは私と部屋で二人きりになっても、あくまで女同士という姿勢は崩さず。
ベッドを譲ろうとしたのに、床でいいと遠慮され。

最近できたカフェの話で盛り上がっているうちに、ケイの方が先に眠ってしまったのだった。