「龍臣、来てくれたのね」
乙女のように両手を合わせたケイは、如月先輩にすり寄って行く。
「いや、お前のためじゃないから」
先輩は冷たく言い捨て、抱きつきかけたケイの体をかわす。
「ユキのついででも嬉しいわ」
この場所に現れた如月先輩は、教室では絶対に掛けている眼鏡をしていなかった。
青緑のネクタイもだらしなく緩めていて、校内にいるときより優等生には見えない。
「お前も優希奈を守るために、戦いに参加しろよ」
「まあ! か弱い私にそんな無茶を言うのね」
「慶蔵、人前でその喋り方やめろ。俺までそういう趣味なのかと疑われる」
「ひどいわ。初めて私を守ってくれたときから、私の心は龍臣だけのものなのに」
「だから、お前の心なんてどうでもいいし」
二人のやり取りに笑いを堪えていると、海里と目が合った。



