「……蒼生(あおい)高校の方ですか?」


強面の彼らに怯えを悟られないよう、深呼吸をしてから尋ねる。


「ユキ、知ってるの?」

振り返ったケイが小声で囁いた。


「兄と同じ制服を着ているから」


ライトグレーのブレザーとその胸に刻まれた校章には見覚えがある。


「俺達のこと、知っててくれて光栄です。
──相原、優希奈さん」


一番後ろにいたリーダー格らしき目つきの悪い男が、私のことを視線だけで捕らえる。


「ちょっと、一人で俺らの高校に来てもらえますか」


物騒な気配にゴクリと喉を鳴らす。


「……そんなこと、させるわけないじゃない」


低くつぶやいたケイが、私をかばうように前へ出る。


守ろうとしてくれるのは嬉しいけど、私のせいでケイが危険な目に合うのは耐えられない。


「……ケイ。私なら大丈夫だから」

「何言ってるの? 目の前で連れ去られたなんて、龍臣に報告できるはず──」


ケイが言い終わる前に、私は男の腕にグイと力強く引っ張られていた。