「危険、かな? 大げさじゃない? 如月先輩は海里なら大丈夫だって言ってたし」


呑気な私の台詞に、ケイは首を振る。


「いくら龍臣に対する忠誠心が強いからって、こーんな可愛い女の子と毎晩二人きりなんて、フツーの健全な男子なら耐え切れるわけがないわ。
龍臣も自分の彼女なのに、他の男に預けるなんてどういうつもりなのかしら」


ぶつぶつこぼしながら再び歩き出したケイは、ふと前方へ目をやり、一瞬にして険しい顔つきをする。


「……ユキ。離れたらダメよ」


低く警告したケイは、私の手首を掴んだ。


ケイと私の前には、柄の悪そうな男子学生が5人ほど立ち塞がっていた。


「今日はいつもより警護が手薄のようで」


彼らはニヤニヤと笑い、私達を取り囲む。


普段だったら、海里と春馬君が一緒に登下校してくれる。

だけど今はケイ一人だった。

しかもケイは暴力は苦手とか……。


つまり、楯は全く存在しないようなもの。


この先の展開を予想して、私はこっそりと青ざめた。