陽が沈んできたため、それ以上寄り道をするのをやめ、帰り道を急ぐ。


ケイは自分の中身が女子であることを龍臣率いるメンバー以外にはカミングアウトしていないらしく。
クラスでは普通の男子生徒を装っているという。

もっとも、親しい友人達にはバレかけているらしいけれど。


「苺のクレープ美味しかったー。また行こうね」

「そうね。今度は龍臣も誘ってみましょ」

「如月先輩も?」

「彼、とてつもない甘党なのよ」

「え? 意外」


如月先輩がクレープを食べているところなんて、あまり想像できないけれど。


ふと空を見れば、真っ黒なカラス達が夕焼けに染まった空を舞っている。
何か不吉な予感がするのは気のせいであって欲しい。



「今日は晩ご飯、何作ろう。昨日は海里が作ってくれたから……」

「──え!? まさか海里と二人暮らししてるの? それは危険だわ!」


眉をしかめたケイは、壊れ物でも扱うかのように私の二の腕にそっと両手を添えた。