「ユキは龍臣の彼女──姫に選ばれたんでしょ? だけど実は、他に好きな人がいたりして?」


鋭いケイの指摘に私は目を見開く。


「す……好きな人ってわけじゃないよ」


なぜか海里の顔が浮かび、ブンブンと首を振る。


「フフ、赤くなっちゃって可愛い。じゃあまだ気になる人、ってとこかしら」


含み笑いをしたケイは、交差点の向こうを指差した。いくつかスイーツの店が並んでいる。


「あのお店でクレープ食べてから帰りましょ」


ケイは中身が女子のはずなのに、変なところがフェミニストというか。

クレープを奢ってくれたり、ドアを押さえて待っててくれたり。さりげなく車道側を歩いてくれたり。

その辺の男の子より、男らしいところがあったりする。