午後からは普通に授業に出ることができた。

放課後になっても窓の外は相変わらず真っ白で、雪はまだ降りやまない。

とうとう秋が終わり、冬が来てしまった。


今日は誰の家に泊めてもらおうかと悩んでいたとき、

「ゆきな、誰か呼んでるよ?」

後ろの席の友達に肩を叩かれる。



指差す方を見ると、廊下に一人の男の子が立っていた。

メープルシロップみたいな髪の色で、背丈は平均より低めだけれど、小顔ですっごく美少年。


「誰だろ?」


あんな綺麗な男の子に、知り合いなんていないのに。


私はとりあえず鞄を持って席を立ち、男の子の方へ向かう。
佐々木君の席を見たけど、とっくに姿はなかった。


「相原優希奈(ゆきな)さん?」


柔らかな声が私の名前を呼ぶ。

透き通った白い肌はニキビ一つなく、きめ細やか。
色素の薄い目は大きく、くっきりとしていて印象深い。

雰囲気が誰かに少し、似ているような……。


「来て欲しい所があるんですけど、いいですか?」

「……はい」


私は暗示に掛けられたかのように、素直に頷いていた。