「雪の中でぶっ倒れてたから、保健室に連れてきた。あのままだったら凍死してたぞ」


なんだ、ここ保健室か……。


倒れてたってもしかして、


「お姫様抱っこで運んでくれたの?」


私は目を輝かせて佐々木君を見上げる。



「あんたバカ? 肩に担いで持ってきたに決まってるだろ」

「持ってきたって……そんな、人を荷物のように」

「コートはそこに掛けてあるから」


彼の視線を辿ると、ハンガーに吊るされた私のトレンチコート。


「え、佐々木君が脱がせてくれたの?」

「──っ。しょうがねぇだろ、雪まみれになってたからな」


一瞬言葉に詰まった彼は、ほんのり頬を赤く染める。


……なんだ。ちょっと可愛いかも。

クールなイメージしかなかった佐々木君に、少し親近感を覚えた。


でも。コートを脱がせるということは、胸の上のボタンを外さないといけないわけで……。


「なんだよ」

「…………」

「触ってねぇって」


じっと見つめる私の心が読めたのか、佐々木君は気まずそうに視線をそらした。