「今、これから春になるところだよ。クリスマスなんてまだまだ先の話じゃない?」
春、夏、秋、冬、と指折り数えて絶句する。
「大切にするって決めたから。そんなに急ぐこともないだろ?」
「それは……そうだけど……」
何だか物足りない。
大切にしてくれるのは嬉しいけど。
外したときと同じように丁寧にシャツのボタンを留め、海里は私の体を起こした。
どこか愛しげに微笑み、乱れた髪を直してくれる。
「……海里」
「ん?」
「もう一回、……して」
自分からねだるのは恥ずかしくて、か細い声になってしまう。
僅かに目を見開いた海里は、そっと目を伏せ唇を寄せた。
何度も重なっては離れる唇。
最後は包み込むように優しく抱きしめてくれた。
「……今日、晩ご飯作りに行くね」
「門限があるんじゃなかったのか?」
「今日はバレンタインだから特別に許してもらったの」
「…………これは……、また拷問だな」
「えっ? 何か言った?」
「いや、何でもない」



