遠ざかっていく彼の背を見つめ、追いかけるかどうか一瞬躊躇う。
私……、本当に一緒に行っていいの?
桜花に戻って、みんなとまた過ごしてもいいの?
そう、尋ねようとしたとき。
「帰るぞ、優希奈。あんたの居場所は桜花だろ?」
引き返してきた海里が私の手を繋ぎ、自分達の帰る場所へ歩き出した。
*
私は何日かぶりに桜花高校の門をくぐり、海里と一緒に青空を背景にした校舎を見上げていた。
ようやく、帰ってこれた。
私と、それから、海里達みんなの大事な場所に。
ふと海里が振り向き、私のことをじっと見つめてくる。
「……会いたかった」
吐息のように海里が言い、私を強く抱き寄せる。
今まで会えなくて我慢していた分まで、抱きしめるかのようだった。
その強さに、海里の気持ちが痛いほど伝わってくる。
胸元に頬を寄せると、少し速い鼓動を感じた。
「離れていても、ずっと優希奈のことを想っていた」
「本当、に?」
あまり自分の気持ちを言わない彼だから、私のことを想っていたとか、実感がまだそこまで湧いてこない。



