「初めて、男に生まれて良かったと思った。もしも女の体だったら、ユキを助けることができなかった」
「ケイ……」
「ユキと出会うまでは自分の体を呪ってばかりいた。自分のことが嫌いだった。だけど、ようやく好きになれそう。こんな私でも、少しは大事な人の役に立てたかなって思うから」
「少しだなんて……。ずっとケイは私の支えになってたよ。助けに来てくれて、一緒にいてくれて、本当にありがとう」
私はしっかりとケイの瞳を見て気持ちを伝える。
そんな私にケイは眩しそうに目を細めた。
「私、暴力は苦手だけど、体を鍛えるのは好きなの。いつでも龍臣を守れるように鍛えていたのよ」
力強い腕に抱きしめられ、ケイが心の中も男の子だったら好きになっていたかも……と心の隅で思う。
少しすると海里と兄の話は終わったらしく、海里だけがこちらへ戻ってきた。
兄は旧校舎に戻って後始末をするらしい。
「結局、海里に良いところを持っていかれたな」
「賭けは海里君の勝ちかぁ」
旧校舎を去ろうとする私達の後方で、如月先輩と春馬君が何やらぼやいていた。
「賭けって、何のこと?」
こっそり聞いてみると、春馬はさらりと答えた。



