「あと、理希の父親とも会っていいって許可が下りたよ」
「えっ、本当……?」
理希のお父さん……私の本当の父親にも、毎日は駄目だけど時々なら、と会うことが許されたらしい。
その後、なぜか兄は海里へ声をかけていたので、二人が話をしている間、私はケイのそばに歩み寄った。
「ケイ。手が……」
隣に並んだとき、右手の甲に血が滲んでいることに気づいた。
きっと、蒼生高の誰かを殴ったときのもの。
本当は自分の手で誰かを傷つけたくはなかったのだと思うと胸が痛い。
「ああ、これ? 前はよくあったことだから、大丈夫。慣れてるの」
平然とそう言い、ケイは朗らかに笑った。
「ユキこそ顔に血がついてる。誰かの血? ユキの血じゃ、ないよね……」
ケイは私の頬についた汚れを、蝶の描かれたアンティークなデザインのハンカチでそっと拭ってくれる。
「……ユキが無事で良かった」
抑えた低い声でケイが私を抱きしめる。



