Snow Doll ~離れていても君を~


旧校舎の外に出ると、陽の光を反射させた雪の白さに目が眩む。

そこで待っていたのは椿高の制服を着た生徒。

椿の姫とその取り巻き達だった。

劣勢になった場合にいつでも応戦できるようにと如月先輩から呼ばれていたようだった。



「負けたよ、優希奈」


旧校舎から出てきた兄が私へ声を放つ。


「完全に俺の負け。身内に裏切られるようでは、蒼生のトップはつとまらない。リーダーの器ではなかった。
それに、佐々木海里の想いがここまで強いとは思わなかったよ。自ら危険を侵して助けに来るなんて。優希奈は大事な仲間を持ったな。……これなら安心して任せられる」


寂しげに、でもどこか吹っ切れたような目で私を見つめていた。


「薫……兄さん。私は桜花に戻る予定だけど。まだ私、薫兄さんの家族でいてもいい?」


遠慮がちに言った私に、兄はふっと微笑んだ。


「父さんが言ってたよ。『優希奈には好きなところに行っていいと言ったけど。今さら夏奈の忘れ形見を手放すわけにはいかない。優希奈は私の大切な娘だ』って」


泣きそうになるのを堪え、私は兄に向かって笑顔を見せた。


「……ありがとう」