目前に見えた旧校舎の奥は広いホールで、真上は吹き抜けになっているため眩しい光が差し込んでいる。
昇降口の付近には、黒い制服の椿高や伯王高校と見られるベージュ系の制服を着た生徒も混ざり、こちらの様子を窺っていた。
たぶんそれは、影島の呼んだ生徒達。桜花にとっては敵だった。
それでも如月先輩の参戦で、押されていた形勢が一気に逆転していく。
私達がホールにようやくたどり着いたとき、ちょうど影島が誰かの一撃で柱に背を打ちつけている所だった。
彼のすぐそばでそれを見下ろしていたのは──海里。
影島を見下ろす眼は険しく、出会った頃と同じ氷の冷たさと鋭さが滲み出ている。
「……とどめ、刺せよ」
立ち上がる気力はないのか、柱に背を預け座り込む影島に反撃の意志はなく、ただ掠れた声を海里へ投げつける。
もう誰も戦っている者はいなかった。
兄も、如月先輩も、理希達も。
動きを止め、静かに二人の様子を見守っていた。
「俺はそれよりも、優先させるべきものがある。
優希奈を……、桜花の姫を無事に連れ戻すこと」
「…………」



