「──優希奈。迎えに来るのが遅くなった」

「海、里……」


冷たい瞳が一瞬和らぎ、迎えに来てくれたという事実に、嬉しさのあまり言葉に詰まる。


けれど余韻に浸っている暇はないらしく。

海里の肩越しに東階段の方から蒼生高の援軍と見られる男達の集団が迫ってきていた。


「慶蔵、優希奈を頼んだ」

「了解」


海里はまたこちらへ背を向け、短く返事をしたケイは急いで私の肩を掴み、無事を確認してきた。


「ユキ、何もされてない?」

「私は大丈夫。……それより、どうしてここに居るのがわかったの?」

「ユキのお兄さんから連絡が入って。ユキが連れ去られたから共闘して欲しいって頼まれたの」


私の手首を縛っていた布を取り去りながら、ケイは教えてくれる。


兄は捕らわれることなく無事に逃げ出せたようだ。
ホッとして小さく息をつく。

まさか、一人であの人数を倒したということはないと思いたい。


「場所がわかったのは、ユキに迷子防止用のGPSを付けていたからですって」