明らかに外が騒がしくなってきて、男がドアを開け様子を窺う。


「……は、全滅? 蒼生の精鋭達を一瞬で?」


男は自分の見た物が信じられない様子で愕然としていた。


私も彼の後ろからそっと覗いてみると、廊下に倒れている男達の数は軽く十を越えていた。


それらを見下ろしているのは、よく見知ったシルエット。

空と同じ深い青色のシャツが、すぐそばにある。


彼の傍らには春馬君や椎名君、それからケイがいた。

影島は桜花へ襲撃しに行ったのではなかっただろうか。


なぜここに桜花のみんなが?


海里が振り返り、私と目が合う。


その瞳は氷よりも冷たく、畏怖を感じるのに、同時に寂しさを秘めているようにも感じた。


私を捕らえていた男を視野に入れた海里は、男の首を掴み、廊下の壁に投げ飛ばす。

あまりの衝撃に気を失ったのか、男は動かなくなる。