「あんたがそのうち如月さんを好きになれば、問題ないだろ」

「そう、かな……」


私が如月先輩を好きに……?

首を傾げたそのとき、海里が急に私を隠すように前へ出て立ち止まった。


海里の前に立ち塞がっていたのは、眼つきの悪い二人組の少年。

短い金髪の男と、肩にかかる長い黒髪の男だった。


私達と同じ、桜花(おうか)高校の制服。
タイはしていないので学年まではわからない。


「よぉ、海里。女連れかよ」


金髪の男がガムを噛みながら話しかけてきた。


「ソレ、誰の?」

「……お前らに関係ねぇよ」


海里が低く答えた。


「誰のでもないなら、俺らに譲ってくんない?」


品定めするような視線に、私は海里の影に隠れる。


「──誰の物でもないなんて言ってない、俺が見つけたんだ」


そう言って、海里は私へ腕を伸ばした。

大きな冷たい手が……私の手に繋がれる。


………え?


不意のことに、胸の鼓動がトクンと音を立てる。