高校は冬休みに入り、椿の姫と桜花の姫を賭けての戦いの日が来てしまった。
降り続く雪の中、如月先輩は十数人を引き連れ、蒼生高の旧校舎へと入る。
旧校舎は先生や一般の生徒の姿はなく、誰かが鍵をこっそり手に入れたのか自由に使える状態になっていた。
暖房が入っていないので肌寒い。
「優希奈。俺達の勝負、なるべく見るなよ」
隣に立った海里がいつもよりさらに冷たい表情で私を見下ろす。
「え……?」
「血とか凄いし、見せたくない。慶蔵と女子会でもしてろ」
「あら、海里。私のことも女子って思ってくれるの?」
悪戯っぽく微笑むケイに肯定はせず、海里は溜め息をついた。
「お前はどうせ戦わないんだろ。優希奈のこと、頼む」
「わかったわ」
「少しくらい、見てもいいでしょ?」
袖を引いた私へ、海里は首を左右に振る。
「優希奈には、人を殴ってる所とか見られたくない」
「……それなら、戦わなければいいのに」
思わず、私は本音を漏らしていた。
私は、海里やみんなに、戦って欲しくない。
傷つくのは見たくない。
「そうかもな」
海里はあっさりうなずく。
「けど、如月さんのためだから。いつかの借りは、返さないとな」
「借り?」
「ああ。1年のとき、俺は如月さんに助けられてる」
降り続く雪の中、如月先輩は十数人を引き連れ、蒼生高の旧校舎へと入る。
旧校舎は先生や一般の生徒の姿はなく、誰かが鍵をこっそり手に入れたのか自由に使える状態になっていた。
暖房が入っていないので肌寒い。
「優希奈。俺達の勝負、なるべく見るなよ」
隣に立った海里がいつもよりさらに冷たい表情で私を見下ろす。
「え……?」
「血とか凄いし、見せたくない。慶蔵と女子会でもしてろ」
「あら、海里。私のことも女子って思ってくれるの?」
悪戯っぽく微笑むケイに肯定はせず、海里は溜め息をついた。
「お前はどうせ戦わないんだろ。優希奈のこと、頼む」
「わかったわ」
「少しくらい、見てもいいでしょ?」
袖を引いた私へ、海里は首を左右に振る。
「優希奈には、人を殴ってる所とか見られたくない」
「……それなら、戦わなければいいのに」
思わず、私は本音を漏らしていた。
私は、海里やみんなに、戦って欲しくない。
傷つくのは見たくない。
「そうかもな」
海里はあっさりうなずく。
「けど、如月さんのためだから。いつかの借りは、返さないとな」
「借り?」
「ああ。1年のとき、俺は如月さんに助けられてる」