放心状態になり、しばらくその場から動けなくなった私は、海里に肩を抱かれ再び歩き出す。


会話がない代わりに、海里は手を繋いできた。

指のつけ根まで深く繋ぎ合わされ、恋人繋ぎの状態になっていてドキッとする。


私と海里の気持ちは同じだった、ということでいいのかな……。

まだ実感が湧かなくて、不思議な気分だ。


帰る間際、この雪景色を目に焼きつけておこうと、光輝く花畑のようなイルミネーションを振り返った。





マンションに着き、玄関でブーツを脱いだあと。

自室に入ろうとしていた海里へ声をかける。


「今日はありがとう。海里と一緒にいられて良かった」


振り返った海里はほんの少し目元を緩め、こちらへ近づいてきた。


「俺も、優希奈と一緒に過ごせて良かった」


静かに伸ばされた指先が、私の唇をなぞる。


さっきのキスを思い出してしまい、私は慌てて目を伏せた。


海里が私の肩に手を置き、壁に押しつけた。


唇に触れていた指先の冷たさが消えた代わりに、海里の柔らかな唇の感触が与えられ。

一度目のときよりも長く、唇が触れ合っていた。