そろそろ帰る時刻が近づいてきて。
私達は公園に飾られたたくさんのイルミネーションがある道を通ってから帰ることにした。
背丈よりも高い、スズランや雪だるまの形をした色とりどりの電飾を一つずつ眺めながら通り過ぎる。
一つ終わるたびに、海里との時間も残り少なくなっていく。
「……あの、海里」
繋いだ手に力を込め、彼の横顔を見上げる。
「もし桜花が負けたら。海里とはもう会えなくなるの?」
同居が解消されたあとも、せめて一目でもいいから彼に会いたいと願ってしまう。桜花とは敵対関係になるから無理な願いなのか……。
「そうだな、会うのは難しいだろうな。けど、蒼生高にはあんたの兄貴もいるし、きっと部屋くらい手配してくれて、一緒に住むことになるだろうから心配はないだろ」
どこか他人事のように海里は言った。
「私……離れたくないよ」
ずっと海里のそばにいたい。
どうして、私が賭けの対象でなければいけなかったのだろう。
「慶蔵は“離れても友達でいる”って言ってたんだから大丈夫なんじゃないのか」
「それは、そうだけど……」
ケイに対する思いと、海里に対する想いは全然違うのに。
海里は寂しくないのかな。私と会えなくなっても。



