昨日とは違い、晴れ渡った空。

マンションの前で待っていた春馬君と合流して、3人で学校へ向かった。


「春馬君はいつも海里と一緒に学校行ってるの?」

「まさか」


私の疑問を、春馬君はきっぱりと否定した。


「優希奈さんが龍臣(りゅうしん)の女だから、付き添ってるんだよ」

「そうなんだ……。わざわざごめんね」

「いいえ。優希奈さんに何かあったら、困るのは俺達だし。なるべく、一人では出歩かないようにね」



“困る”の意味がわからなかったけれど。

私は春馬君に頷いてから、黙って前を歩く海里の背中を見つめた。





放課後、委員会があり、そこで見た如月先輩は以前のままの優しくて真面目な先輩だった。

私と目が合うと、眼鏡の奥の瞳をスッと柔らかく細めてから視線を外す。

髪も普通に下ろしていて、昨日の彼は別人だったのではと思えてきた。




「相原さん」


委員会が終わり、帰ろうと廊下を歩いていた私を呼び止めた人がいた。
その甘く低い声は、やっぱり如月先輩のもので……。


「ちょっと、いいかな」

「……はい」


振り返った私は、ゆっくりと頷いた。