しばらくして注文したセットが運ばれ、和風パスタとハーフサイズのピザが目の前に並ぶ。


「美味しそう。いただきまーす」

「……あのさ」


海里が私の目を見ないで、歯切れ悪く何かを問いかける。


「優希奈って、好きなヤツとかいるのか?」

「……え?」


フォークを持つ手を止め、不可解な台詞に思わず首をかしげる。

これまで、それとなく彼に伝えたつもりでいたから、気づいていると思っていた。

さっきは『海里と一緒にいられるだけで充分』とまで言ったのに。
全然、本人には伝わっていなかったらしい。


もしかして海里って鈍感?

今、目の前にいる人が、私の好きな人ですけど……。



「いるよ、好きな人。どうかした?」


私が素直に答えた途端、海里の瞳が翳った。

傷ついたかのように切なく、目を伏せる。


「午前中、優希奈の兄貴に会った」


思いもかけない言葉に、私は再び固まる。


「お兄ちゃんに……?」


一体、兄は何の用だったのか。

まさか海里と同居しているからって、付き合っていると勘違いしたとか?