駅のそばのショッピングモール。

イヴというだけあって、恋人同士と思われる男女の組み合わせが目立つ。

手を繋いでお店を覗いたり、休憩コーナーのベンチで寄り添ったり。みんな幸せそうに見えた。


私達みたいに曖昧な関係の人はどれくらいいるんだろう。

ほんの少しだけ切ない気分になるものの。今、手を繋いで一緒にいられるだけで幸せなのだと言い聞かせた。

これ以上を望むなんて、贅沢すぎる。



本屋や雑貨店を一通り見たあと、私達はレストラン街に迷い込んでいた。

カフェ風の落ち着いた店の前で海里が立ち止まる。


「──あ。ここ、お洒落なお店だね」

「入ってみるか? 慶蔵が勝手に予約したらしい」

「ケイが?」


確かに今日はイヴだから、予約をしていなければどこも入れないぐらい混んでいる。

ケイの用意周到さに感謝しつつ、ウェイターに窓際の席へと案内された。


夜景が眺められる最高の席で、海里と向かい合わせに座る。

メニューを渡され、クリスマス限定のセットがあったので二人でそれを注文する。

ガラスの向こうには琥珀色の夜景が広がっていて、私は飽きずにキラキラと瞬く光を眺めていた。