*
静かなリビングで二人きり。
自分のお皿に残ったケーキの続きを食べる前に、海里にも出そうと振り返る。
「ケーキ、食べる? まだ海里の分もあるよ?」
「いや、俺は甘いもの得意じゃないから、一口もらうだけでいい」
そばに来た海里は何を思ったのか、私のフォークに突き刺さったケーキを、私の手ごと掴んで口元へ運んだ。
一口で綺麗に食べられてしまう。
「あ……」
「甘過ぎなくて美味しい。ごちそうさま。──それ食べ終わったら、出かける準備しろよ?」
優しくそう言って、海里は自分の部屋へ向かってしまった。
今日の海里は、いつもと違って甘い気がする……。
このフォーク、どうしたらいいんだろう。
しばらく悩んだあと、あまり深く考えないでおこうと、残ったケーキを切り分け口に運んだ。
*
マンションを出るときにはすでに夕陽が沈みきったあとだった。
雪道だからか海里が私へ手を差し出してきて。
恐る恐る、手を重ねる。
柔らかく握りしめられ、私達は自然と手を繋いで街並を歩いた。
今日はいつもより暖かく、手袋はしていなかったから、直に手が触れ合って緊張する。
静かなリビングで二人きり。
自分のお皿に残ったケーキの続きを食べる前に、海里にも出そうと振り返る。
「ケーキ、食べる? まだ海里の分もあるよ?」
「いや、俺は甘いもの得意じゃないから、一口もらうだけでいい」
そばに来た海里は何を思ったのか、私のフォークに突き刺さったケーキを、私の手ごと掴んで口元へ運んだ。
一口で綺麗に食べられてしまう。
「あ……」
「甘過ぎなくて美味しい。ごちそうさま。──それ食べ終わったら、出かける準備しろよ?」
優しくそう言って、海里は自分の部屋へ向かってしまった。
今日の海里は、いつもと違って甘い気がする……。
このフォーク、どうしたらいいんだろう。
しばらく悩んだあと、あまり深く考えないでおこうと、残ったケーキを切り分け口に運んだ。
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マンションを出るときにはすでに夕陽が沈みきったあとだった。
雪道だからか海里が私へ手を差し出してきて。
恐る恐る、手を重ねる。
柔らかく握りしめられ、私達は自然と手を繋いで街並を歩いた。
今日はいつもより暖かく、手袋はしていなかったから、直に手が触れ合って緊張する。



