「明後日、26日だ」
「じゃあ……ユキと一緒にいられるのは、残りわずかかもしれないってことね。せっかく友達になったばかりだっていうのに。もしそうなったら寂しいわ」
「蒼生高に勝てる確率はどのくらいなの?」
ふと疑問に思い、聞いてみる。
「普通にやり合えば、40%」
淡々と海里が答えた。
40%って……、負ける確率の方が高いってことだ。
せめて互角だったら希望が持てるのに。
どうして、如月先輩はこんな勝負を受けてしまったんだろう。
負ける可能性が高くても、椿の姫を手に入れたいという気持ちが強かったのか……。
「ねえ。ちょっと海里」
不意に思い立ったように声を上げたケイは、海里に何事かを耳打ちする。
「……はあ?」
「いいじゃない、今日で最後かもしれないのよ。お願い」
「一回だけだぞ」
不機嫌な顔を隠さず、渋々何かを了承する。
その言葉に、顔を輝かせたケイがこちらへ戻ってきたと思ったら、私のことを突然、ぎゅーっと抱きしめてきた。
「ユキ。例え蒼生に行って離れ離れになっても、友達でいましょうね」
「うん……。私、ケイと友達になれて良かった」
細い背中を一瞬だけ抱きしめ返したら、穏やかな花の香りが漂ってきた。



