翌朝、目を覚ました私は、慣れない殺風景な部屋の中で、男の子の家に泊まったんだ……と思い出す。

部屋には内側から掛けられる鍵もついていて、海里を信用していないわけではないけれど、一応鍵をしておいた。

所持品の鞄には、いつでも家出ができるように、パジャマと下着を準備していて正解だった。

この格好のまま洗面台に行くのもどうかと思い、上にカーディガンを羽織って部屋を出る。


「おはよう」

「……あぁ」


リビングのソファでニュースを見ていた海里が顔をこちらへ向け、私とは目を合わせずに返事をした。

お風呂上がりなのか黒い髪が艶っぽくて、妙に色気がある。


「シャワー浴びるなら、洗濯機の上の棚に新しいタオル置いてあるから」

「……うん、ありがとう」


なんだか……同棲している恋人同士みたいに思えて。今さらながら恥ずかしくなった。