いつもクールな海里。
イヴの夜は二人だけで会いたいけど、どうやって誘おう。

ケイ達と別れ、マンションへ帰る途中、私は隣を歩く彼を見上げた。

私と彼の間には、微妙な距離がある。
手が触れそうで触れない、曖昧な距離。

私は思い切って、月明かりを浴びた綺麗な横顔に声をかけた。


「ねえ海里。クリスマスは友達と集まるの?」

「さあ……。興味ない」


そっけなく海里は答える。
想像していたとおり、どうでもいい様子だ。

そんな人をどうやって誘ったらいいのか、ますます悩んでしまう。


「あんたは予定あるのか?」

「私は24日のお昼過ぎに、ケイや春馬君とケーキを食べる約束してるよ」


それに、イヴの夜は私に予定が入らなければ、春馬君や理希に二人きりで逢おうと誘われている。
冗談だとは思うけど。


「春馬達に言い寄られていたのは、そのことだったんだな」

「え。海里、聞こえてたの? 理希も来るみたいだよ。家に呼んでもいい? 駄目なら、理希の家にお邪魔するし」

「は? あいつらの家に行くのは危険だからやめておけ」