──頬にぶつかってくる雪が刺すように痛い。 吹雪で前が見えなくて。 視界を占領するのは、ただ真っ白な世界。 温度感覚がなくなるほど冷え切った体は、薄っぺらいトレンチコートじゃ守り切れない。 手も足も、凍ってしまったかのように動かなかった。 このまま、凍死するのかな……。 それもいいかも。 私にはそれが、似合ってる。 心を持たない私は雪で作られた人形と同じ。 どうせ、いつか融けてなくなってしまうのだから。