どれくらいたったのか。 気付けば空は茜色に染まり、遠い空をカラスが何羽も飛んでいた。 俺はゆっくりと立ち上がり、制服の汚れを払う。 いつの間にかウトウトしていたらしい。 携帯電話で時間を確かめれば、屋上に来てから1時間半ほど経っていた。 …帰ろう。 俺は屋上の扉のある方へ回ろうとして。 「は、颯人……?!」 いつもの場所に、いつものように文庫本を手にした颯人が座り込んでいた。