「りーくんに可愛いなんて言われたくない」


「もー、頑なだなぁ」



そりゃあ頑なにもなる。


好きじゃないんだからこんなところで折れてどうする。


…ゆーゆなんで帰っちゃうんだよ。



「あの、理玖くん」


「なぁに、帆夏ちゃん」


「美優ちゃんが嫌がってるんだから帰ってあげたら?」



核心をつくほのちゃんに嫌そうな顔をするりーくん。



「えー、やだ。美優ちゃん落とすって決めたもん」



…こういうのが、1番嫌い。


みゆのことなんも知らないくせに。



みゆはふーくんのことが好きなんだから邪魔しないでほしいの。


ほんとに、やだ。



「いつもだったらすぐ乗り換えるくせに」



ほのちゃんがぼそりと呟くと目の前の男はムッとした顔になった。



「今回は本気だよ。一目惚れだもん。今は美優ちゃんだけ」



…わかんない。


そーゆーの全然わかんないんだよ。


みゆはふーくん以外を見てた時期なんてないから、乗り換えるとか、一目惚れとか、今は、とか。


考えたことなんてないから。



「美優ちゃんのデレを見てみたいんだよね」


「みゆはふーくんとゆーゆだけ」


「もー、つれない」



りーくんは困った顔をして、それでも予鈴がなるまで帰る様子はなかった。