「お邪魔します!」


呼び鈴がなり、出迎えると扉の向こうには幻と少女が並んで立っていた。


……幻の隣に、女子。


やっぱり違和感しかねーな。


って。

少女から、ジロジロと見られている。


「なんだ」

「いや、あの……メガネをかけていて、さっきお会いしたときとは別人みたいだなと。髪型も違いますし」


そりゃあ今の俺は優等生モードに近いからな。


「一応寝床は作ったが、急だったので布団しかない。君はベッド派か?」


どうしても床が寝づらいなら俺のベッドを貸してやらなくもない。


「いえ!……なんでも大丈夫です!」

「そうか。なら準備はできている。着替えやタオルの類は用意させたが。その……女子的なもののサイズがわからなかったので問題があるようならうちのものに連絡をとってくれ。俺はよくわからないからな……。一応フリーサイズとかなんとか聞いたが。君は携帯は持っているか?」

「……いいえ」


仕方ない。連絡するときは貸してやるか。


「そうか。それじゃ、必要になれば俺の携帯を――」

「夕烏」


幻が、つぶやく。

……いや。つぶやいたんじゃ、ない。


幻の手が、少女の肩に回される。


――会話に割り込んできたんだ。


まるで、俺のものとアピールするかのように。


アホか。

協同生活するんだぞ、俺とその子。

いきなりそんな独占欲発揮すんなよ……!


やりづれえわ。


「……な、なんでしょうか」

「買ってやる」

「え?」

「ないと不便だろうからな」


(……おいおい。嘘だろう?)


幻が、女子に、プレゼント……?