「……そうか。わかった」


愁さんか、燐さんかな。


それにしても――、さっきのなんだったんだろう。


【やらなくていい】


甘やかさなくていいんですよ。


むしろそのくらい、本当に苦じゃないんです。


料理したものを一緒に食べる人がいるなんて幸せです。


だってわたしは――。


【まだ準備できてないの?】

【はやく片付けてよ】


……召使い同然の暮らしをしていたのだから。


総長さんが携帯を耳から離し、ジャケットの内ポケットへとしまう。


「食い終わったら愁のマンションに行く」

「……!」

「準備が整ったらしい」