総長さんが、確かめるようにそうつぶやいた。


どうしたの?


「あ、嫌ならいいんです! そういうのは、迷惑でしたか」


なにも答えない、総長さん。


「愁は、これから夕烏の手料理が食えるのか」

「え?」

「夕烏に洗濯してもらい。シャツにアイロンをかけてもらうのか」


もちろんです。

お世話になるのですから、そのくらいのこと喜んでやりますとも。


「あ……。愁さん、潔癖なんですよね。嫌がられない範囲でお手伝いさせてもらわなきゃ」

「やらなくていい」

「……へ?」

「あいつの身の回りの世話はする必要がない」

「でも……」


家賃払えそうにありませんし。

ならば、せめてそのくらいはさせて欲しいのですが。


「ご飯は一人で食べるより、誰かと食べたほうが美味しいですし」

「…………」

「総長さん……?」

「――わるい」


そういって、総長さんが電話を取り出して耳に当てた。