先に扉の外に出ると、

続いて総長さんが部屋の明かりを消して外に出てきた。


「どこに、行くんですか?」

「下」

「……?」


お店の正面にあるシャッターは閉まっている。

通り越して別の出入口から店内に入ると、中は真っ暗だった。


電気がつけられると数台のバイク、関連商品、それから見たことのない部品などがズラリと並んでいる。


作業スペースのようなものもある。


(総長さんは、ここで、お店番してるんだ……)


「好きなものを選べ」

「え?」


……わたしバイクの免許ないですよ?


原動機付自転車は

たしか、16になってからですっけ。


まさか、


『無免で乗れ』

『ついてこれなきゃ“俺の”失格だ』


ここに来て、“鬼”総長発揮ですか――!?


「といっても、小さな店だ。取り寄せれば種類も豊富にあるだろうが。今はこれだけだな」


ある棚の前で総長さんがピタリと足を止めたので、つられて立ち止まる。


そこにあったのは――。


「……ヘルメット?」

「あった方がいいだろう」


そっか……! さっき総長さんの借りたから。

おかしな妄想をしてしまった。


さっきノンヘルでヒヤヒヤしたもんね……。

いくら運転上手くても絶対に必要なものだ。


「部屋にも幾つかあることにはある。それを貸してやってもいいが――夕烏のがひとつ、あってもいいと思ってな」


(わたし専用の、ヘルメットを……?)


……すごく嬉しい。

自分のヘルメットを持つなんて、初めてだ。