「……なんでもねえ。忘れてくれ」
いや今のは明らかになんでもなくはなかったですし、たぶん忘れられないと思います。
もしかして
場を和ませようとしてくれたのかな……?
さっきからずっと、わたしが
内心ドキドキして心臓爆発しそうなのに気づかれたのかもしれない。
「あいつらの前では言わなかったが」
「……?」
「俺がここにお前を置かない理由なんて、ひとつしかねえ」
(わたしが愁さんの家に預けられるワケ……)
「さっきもいった通り。お前を守りたいからだ」
「……総長さん」
「生活していく上で、ここらは足がないと不便な立地なのは言うまでもねえが。人の目もあまりない。日が沈めば真っ暗になる。なにが起きるかわからない」
平和そうに見える、のどかなこの町で。
いったいなにが起きるというのだろう。
「引きこもれなんて言わねえが。ウロつくのは明るい時間だけにしておけ」
「は、はい!」
「それから」
「……っ」
――服の中に手が入ってくる。