――そのとき。
「旦那……さん」
総長さんが、小さくつぶやいた。
「あ、いや。なんでもないです」
へんなこと言っちゃった……!
いきなり旦那さんなんて言っちゃ引かれたよね。
でも。
どういうつもりでキスしたのかな。
可愛がるって。
一緒に住むって。
わしは、あなたの、なにになれたの……?
恋人?
でも、
付き合おうって言われたわけじゃ、ない……。
好きとか。
愛してるって、言われていない。
(……って。わたしも言ってないけど!)
流されっぱなしだなあ。わたし。
でも、総長さんのお傍にいたいという気持ちは本物だ。
これまでの自分とは、もう違う。
「夕烏」
「はい!」
「もう一度」
「……はい!?」
もう一度って?
「旦那さん、と」
「旦那さん?」
「もう一度」
「………旦那さん」
総長さんが真顔で停止している。
だ、大丈夫かな!?
「あの。どうしましたか」
「……新妻」
「!?」
なんですか急に。
これはコントですか?
真顔のボケは反応に困るのですが。
「その三択なら……迷わず食事も風呂も後回しにしてお前を食う」
「どの三択です!?」
総長さんの頭の中
いま、どうなってますか。


