総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)



紛れもない本心だった。


――あなたについていく。


そう、素直に思えてしまう魅力が

あなたには十分すぎるくらいある。


「拾われたのが他の男でも同じこと言えたか」


――え?


「よくもまあ。こんなにも無防備になれるな」


総長さんが、瞼を開く。


「そんな……わたしは、」

「夕烏を助けたのが燐でなきゃ、今頃別の男と熱く抱擁でも交わしていただろうか」


――総長さん?


「ひゃ、」


腕を引かれ、総長さんの上に倒れ込むと

大きな手が頬に添えられる。


「お前は俺を怖がらないんだな」

「そんな、怖いだなんて……」

「よく言われるのは、“鬼”」

「鬼?」

「ああ。血が通っていない。流れていても青い。心がない。そんな台詞を、散々吐かれてきた」


(……総長さんが?)


「ありえないです。こんなに優しく笑ってくれるじゃないですか」

「それは夕烏が相手だからだ」

「……!」 

「どうした。そんなに顔を赤らめて」

「だっ……て……」


総長さんの手

ずっと、わたしに触れたままだから――。


「言っただろう。初めて抱いた感情だと」

「……はい」

「お前を目の前にした俺には、リミッターなんてあってないようなものだ」

「…………」

「だけどお前は、俺じゃなくてもそうなるのか。誰の前でもそんな顔してみせるのか?」

「なんで……そんなこと、言うんですか」


さっきから、変ですよ。

イジワルですよ。


「どうしてそんなたとえ話するんですか。もしも別のひとだったらなんて、言わないでくださいよ」


ここにいるのは、紛れもなく

総長さんとわたしじゃないですか。


「どうしてかって?」


総長さんの唇が、耳に近づいてくる。


「――そう考えると、やりきれないからだ」