伝わったの?
わたしの気持ち……。
「そんな顔させて悪かった」
(……!)
「今のは、あくまで黒梦の総長として聞いた。俺の本心とは無関係だ」
(総長さんの、本心……?)
「確かめておく必要があった。それだけ守ってるものがでけえからな」
守ってるもの。
それは、愁さんや燐さんのような、かけがえのない仲間たち。
そして、そんな仲間たちの過ごす環境。
チームの未来――。
「俺たちの歴史なんざ、広い視点でみりゃたかが知れてるかもしれねえが。それでも個々にとっては大きなもので。任されたからには、先代が築き上げたもんぶっ壊すわけにはいかねえ」
総長さんは。
ううん、このチームのみんなは
先輩たちの意思を受け継いでいるんだ。
その全責任を背負っているのが、あなたなんですね。
「いつもはこうじゃないんだ」
「……え?」
「燐のときでさえ、あいつのおおよその人となりを見た上で、それから己の判断でチームに入れた。もっと段階を踏んだ」
「…………」
「だが、夕烏。お前は違う。ひと目見たその瞬間から“守りたい”と思った」
「総長、さん……」
「いや。それよりも、欲しいと。そう思わずにはいられなかったんだ」
「どうして……」
「さあな。生まれて初めて抱いた感情だ。これにどう名前をつければいいか、わからねえ」
(生まれて初めて……?)
「俺はな、夕烏。もしもお前が俺たちの敵だってなら、それを受け入れただろう」
「え……」
「俺が判断を誤ったってなら、それは俺の責任だ。二度とあいつらと走ることはできねえ。その覚悟でお前をここに連れてきた」
総長さんの言葉が瞬時には理解できない。
……こんな話、
愁さんや燐さんが
総長さんを慕う仲間たちが聞いてしまったら
わたしは一生、恨まれてしまうんじゃないかな。
「っ、どうして、そこまで……」
堪えていた涙が溢れてきた。
悲しみからは解放されたはず、なのに。
総長さんが、指で、涙をぬぐってくれる。
「夕烏は涙も綺麗だな」
「な、なんですかそれ」
なんだろうな、と笑った総長さんを見て
胸の奥がギュッと締め付けられる。
「どうやら俺はお前といると狂っちまうらしい」
「……狂わないでください」
まだ、あなたのこと、ほんの一部しか知らないけれど。
いつもはクールで。冷静な判断ができて。
取り乱されることなんてないのでしょう?
そんな総長さんだから。
優しくて、強くて、責任感だってあるから。
みんなが慕うんじゃないですか――。


