総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)



伝わったの?

わたしの気持ち……。


「そんな顔させて悪かった」


(……!)


「今のは、あくまで黒梦の総長として聞いた。俺の本心とは無関係だ」


(総長さんの、本心……?)


「確かめておく必要があった。それだけ守ってるものがでけえからな」


守ってるもの。

それは、愁さんや燐さんのような、かけがえのない仲間たち。

そして、そんな仲間たちの過ごす環境。

チームの未来――。


「俺たちの歴史なんざ、広い視点でみりゃたかが知れてるかもしれねえが。それでも個々にとっては大きなもので。任されたからには、先代が築き上げたもんぶっ壊すわけにはいかねえ」


総長さんは。

ううん、このチームのみんなは

先輩たちの意思を受け継いでいるんだ。


その全責任を背負っているのが、あなたなんですね。


「いつもはこうじゃないんだ」

「……え?」

「燐のときでさえ、あいつのおおよその人となりを見た上で、それから己の判断でチームに入れた。もっと段階を踏んだ」

「…………」

「だが、夕烏。お前は違う。ひと目見たその瞬間から“守りたい”と思った」

「総長、さん……」

「いや。それよりも、欲しいと。そう思わずにはいられなかったんだ」


「どうして……」

「さあな。生まれて初めて抱いた感情だ。これにどう名前をつければいいか、わからねえ」


(生まれて初めて……?)


「俺はな、夕烏。もしもお前が俺たちの敵だってなら、それを受け入れただろう」

「え……」

「俺が判断を誤ったってなら、それは俺の責任だ。二度とあいつらと走ることはできねえ。その覚悟でお前をここに連れてきた」


総長さんの言葉が瞬時には理解できない。


……こんな話、

愁さんや燐さんが

総長さんを慕う仲間たちが聞いてしまったら


わたしは一生、恨まれてしまうんじゃないかな。


「っ、どうして、そこまで……」


堪えていた涙が溢れてきた。

悲しみからは解放されたはず、なのに。


総長さんが、指で、涙をぬぐってくれる。


「夕烏は涙も綺麗だな」

「な、なんですかそれ」


なんだろうな、と笑った総長さんを見て

胸の奥がギュッと締め付けられる。


「どうやら俺はお前といると狂っちまうらしい」

「……狂わないでください」


まだ、あなたのこと、ほんの一部しか知らないけれど。


いつもはクールで。冷静な判断ができて。

取り乱されることなんてないのでしょう?


そんな総長さんだから。


優しくて、強くて、責任感だってあるから。


みんなが慕うんじゃないですか――。