「……幻?」

「あれれー?」


愁と燐の言葉が耳に入ってこねえ。


「あ、あなたが総長さんですか」


まっすぐに視線を向けてくる。


くりっくりの目を。


それを、ただ、見つめることしかできねえ。


(……俺が総長かって?)


「ああ」


かろうじて返事はできた。


つーか。


総長さんって。


総長に、さん付けって。


なんだそりゃあ。


……かわいすぎねえ?


響きもだが。


声からなにから。


総長さん。


総長


さん


…………。


「最後にひとつだけ聞いてもいいですか」


――最後…?


は……


最後?


「言ってみろ」


最後って。


なぜ、最後なんだ?


「わたし、姫にはなれませんか」

「お前が。姫……?」

「はい」


この、ちんちくりんが。


“姫”


だと……?


「総長さんがダメだと言うなら、諦めがつきます」


姫。

ひめ。

ヒメ……


いや、オマエは。


チームの姫というよりは――。